ハゲタカファウンドを活用その1  [倉田 洋志]


日本の金融機関や企業が、不良債権の処理を始めた頃のお話です。
今回は実話を元に、話をすすめます。

それは何年か前のある日、不動産業者の友人Aが持ってきた話がきっかけでした。
「クラちゃん(通称、私はこう呼ばれています。)
 どうもようわからんのじゃけど・・・どう思う?」
と言いながら書類を取り出しました。

「あんたがわからんのに、私がわかるわけないじゃない。」と
軽口をたたきながら、その書類に目を通しました。

内容は、入札期日を2週間後にひかえた、競売物件の物件説明書でした。
最低価格が6,000万円の豪邸です。

「どうしたん?誰か入札するん?」
と聞き返すと、
「ちがうんよ。この物件を、4、000万円で売ってくれと頼まれたんよ。」
それは確かにおかしな話です。

競売の最低価格というのは、これ以下では応じませんという金額です。
競売すれば、6、000万円以上で売れることもあります。
それなのに、何で4,000万円なんでしょう。
Aでなくても、それは何かの間違いか、サギのたぐいの話だと考えるでしょう。
思わず、「誰に頼まれたん?こんなバカげたことを。」と言ってしまいました。
すると「実は、同級生で東京におるやつなんよ。
え〜と・・・・・LLCいう会社なんじゃけど。」
「そりゃあ、よう聞いてみんとわからんよ。」ということで、
もう少し詳しく聞いてみることになりました。

その結果、次のことがわかりました。
1,間違いなく、4,000万円で売却を依頼していること。
2,この土地建物の所有者は、この会社ではなく個人の所有であること。
3,ただし、乙区の根抵当権者の名義が、銀行からこの会社に債権譲渡されており
 (ようするに、お金を貸している債権者がこの会社に変更されている。)
 その額は数億円であること。
4,競売に以前から出されており、入札者がおらずそのたびに価格が下がっていること。

これらをもとに、2人でとりとめのない議論が始まりました。

「何で勝手に値段を下げることができるのか、ただの債権者なのに・・・。」
「持ち主が了解しなければ、任意売却はできないはず・・・。」
「何のための最低価格か・・・。」
「そもそも数億円の根抵当権を、4,000万円で抹消できるのか?」などなど、
疑問は深まるばかりです。
しかし、考えていてもわからないので、
誰かに相談してみようということになり、とりあえず、銀行員の友達数人に電話をしました。
「・・・こんな話があるけどどう思う?」
「なんじゃそりゃあ。ようわからんけ〜わかったらおしえてや。」
帰ってくるのはこんな返事ばかりです。
ところがそれが結果的に、中国地方のこのような物件をいくつか、売買することになるのです。
へんてこな話から、瓢箪から駒がでました。
次回は、その仕組みについて説明をします。





===========================================

倉田 洋志
(有)クラン・コーポレーション 代表取締役 
広島工業大学建築学科卒業、ファイナンシャルプランナー、
不動産コン サルタント、として資産運用と節税、相続対策、
収益不動産の企画、運営、を中心に、宅地建物取引業者として
不動産売買の斡旋等の業務をしております。

===========================================