●思わぬ疑問にお答えします!
「児童手当の落とし穴」
「『労働法』に関する豆知識!!!」
みなさん、こんにちは。
社会保険労務士/行政書士の高谷と申します。
当職は、解雇などの労働問題を中心に業務展開しているのですが、
それ以外にも消費者トラブル等、
一般の皆様方にとって身近な法律問題をメインに活動しております。
なお、労働社会保険その他の身近な法律問題について
相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
初回の相談は無料です。
(事務所についての詳細はこちら⇒http://www.h6.dion.ne.jp/~takatani/
⇒http://plaza.rakuten.co.jp/takatani
さて、前回は「児童手当の落とし穴」についてお話いたしましたが・・・
この度は、住宅を購入された後に、失業を余儀なくされた場合の
『『労働法』に関する豆知識!!!』についてお話してみたいと思います。
これから一戸建てを購入しようとお考えの折でも、
将来、不測の失業事態が起こるやも知れません。
住宅ローンといいますのは、
通常35年間もの間支払わなければなりませんので、
もし『失業』という事態に陥った場合、
通常は雇用保険からの保険給付に頼らざるを得ません。
かような場合、『労働法について、あらかじめ知っておかなければ損!』ということが沢山あります。
このたびは、その沢山あるなかで代表的な知識・落とし穴について等、
数回にわたってお話してまいりたいと思います。
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≪失業に関する事例≫
ある奥さんから相談がありました。
私の夫であるA(33歳)は、平成16年6月1日、念願の一戸建を購入して家族と共に入居して間もなく、いきなり勤めている会社より理由なく『退職』を促されました。
恐らく今後については、コストダウンを図るべく、商品管理や伝票管理などの業務を正社員に任せるのではなく、これからは派遣社員やパートに任せるのではないかと思います。
ところで夫のAは、現在この会社(スーパーマーケット)で約10年間程度勤めているのですが、今の仕事の内容は、商品伝票管理・商品仕入管理です。ですので、特にこれといった特殊な能力があるわけではないので、会社を辞めるといっても再就職に対して大変不安に思っているようで、会社を辞めようにも色々と悩んでいる様子です。
そこでご相談なのですが・・・・
この場合、やはり退職すべきなのでしょうか?このまま会社にいついても、その内会社から正式に退職勧奨を受け、また社内の上司よりでいじめに遭うかもしれません。また、今の夫の給与は、残業代を含めて月給で35万円(手取りでいうと、30万円程度)程度です。再就職後も、このくらいの給与がもらえるかどうかも分かりません。
ご指導・ご教授願います。
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【 回 答 】
貴方の夫に関しては、労働基準法上の問題と雇用保険法上の側面・知識について
コンサルティングする必要があると思います。
このたびは、2回に分けてお話したいと思います。
1.退職すべきかどうかの回答
まず、『退職すべきかどうか』についてですが・・・
とりあえず今は、会社にしがみついてでも引き続き勤めあげることでしょう。
なぜならば、下のPDファイルを見れば分かるとおり・・・・
(http://www.hiroroudoukyoku.go.jp/contens/antei/contens/koyou/pdf/shokugyoubetsu_kkt.pdf)
簡単に説明すると、事務系常用労働者に関しては、
広島公共職業安定所の求人・求職状況をみれば次の通りとなっています。
【管理的職業(いわゆる管理職待遇の職務)について】
1)求人件数 82件、求職者数211人で、
その有効求人倍率は0.39(82÷211)となっている。
2)求人票に記載されている求人者の提示賃金は、
最高で352,450円、最低で233,700円である。
【事務的職業について】
1)平均で求人件数 3271件、求職者数9935人で、
その有効求人倍率は0.33(3271÷9935)となっている。
2)求人票に記載されている求人者の提示賃金は、
最高で181,199円、最低で178,198円(なお、残業代は除きます)である。
以上の簡単な統計説明を見ればお分かりの通り、
現在のこの広島の管理・事務系職業に関する求職状況は
大変厳しい状況となっています。
ましてや、貴方の夫が経理等の特殊な職務経歴があればともかく、
伝票関係や仕入管理などの、その会社特有の業務経験しかありません。
このような仕事であれば、現在の職安の求人の約40%が派遣社員で、
これらの業務の多くを派遣社員に頼っている現在の企業の実情を考えれば、
貴方の夫Aが同様の仕事で常勤採用を見込むのはきわめて困難であること言えるでしょう。
また、再就職が可能な年齢(33歳)であっても、
課長職のような管理職経験がないのであれば、
再就職後の賃金は、残業代を含めても、
最大総額で25万円(手取りでいうと22万円程度)となることは間違いないと思います。
そこでこれは当職の私見なのですが、
会社事業がスーパーマーケットのような小売業ならば、
ひとつ夫のAさんに対して『販売職への異動』を進めてみてはいかがでしょうか?
なぜかといいますと、スーパーマーケットのような業種の正社員である販売職であれば、
実際の商品仕入管理やパート・アルバイトの人事・労務管理、
それからスーパーの場合、店それぞれで独立採算制を念頭において
事業を考えているでしょうから、長い目で見れば、
店の経営ノウハウについても身につけることができます。
さらに、経理に関する知識などは、所詮は事務系で数字を扱うだけにすぎないのですから、
実際にスーパー勤務を自分の事業として捉えつつ勤務していれば、
その責任と経験さえつめば、
経理のような机の上での職業よりも一層重要なポスト、
つまりいずれは店長などの管理職に就ける可能性もでてくると思います。
2.退職を考えた場合の法的な解説
それでは逆に、夫のAさんが会社を辞める方向で考えた場合の
法的問題点や知識について解説しましょう。
まず、会社から退職を促されているのであれば、
それは会社からの一方的な『解雇の意思表示』に他ならないと考えられます。
会社側が本当に退職を促す場合であれば、
法的(労働基準法第20条)には少なくとも30日前に予告するか、
又は30日分の平均賃金を支払わなければ解雇してはなりません。
ですから、貴方の夫の会社が明確な解雇の意思表示をするのであれば、
この解雇に関する原則を守らなければならないのです。
では逆に、貴方の夫Aが、退職を促されたからといって退職願を自身から提出し、
実際に退職した場合はどうなるのでしょうか??
この場合、解雇されたのではなく、『自ら退職』・・・
つまり、『自己都合退職扱い』となってしまいます。
もし自己都合退職扱いとなった場合、
貴方の夫が会社を退職し失業保険を受けるようになったときには、
解雇扱いと比べて大きくその保護が薄くなってしまうという結果となってしまいます。
では、雇用保険法上、解雇と自己都合退職とでは
どのように給付内容が変わってくるのでしょうか!??
まず、貴方の夫が退職した場合の失業保険の日額(基本手当日額)を計算してみましょう。
計算式(退職日が30才以上35歳未満の場合)は、原則として次の通りです。
基本手当は、原則として賃金日額の50〜80%の範囲内で決せられます。
まず、賃金日額から計算してまいりましょう。
※賃金日額の算出計算式=月額賃金の6か月分÷180日
ですので、Aの場合、35万円×6ヶ月÷180日≒11,667円(賃金日額)となります。
それでは、この賃金日額11,667円を基に、
実際に受けることができる失業保険日額(基本手当日額)を計算しましょう。
※ 退職日において30才以上45歳未満の受給者にかかる
失業保険日額(基本手当日額)の計算式は次の通りです。
|
賃金日額(W) |
基本日額(Y) |
| 1)2,120円以上 4,180円未満 |
Y=0.8W |
| 2)4,180円以上 12,130円未満 |
Y=(−W2乗+25,380W)/26,500 |
| 3)12,130円以上 15,960円未満 |
Y=0.5W |
| 4)15,960円以上 |
Y=7,255 |
Aさんの賃金日額は、11,667円ですので、上記の計算式中の2)が適用されます。
ですので、2)の計算式を利用して計算すると・・・・
Aさんの基本手当日額は・・・6,037円となります。
さらに、自己都合退職した場合と解雇された場合と、
それぞれこの基本手当は、どの程度貰うことができるのでしょうか!??
具体的には次の通りです。
【自己都合による退職の場合】
|
勤務期間 |
1年未満 |
1年以上
5年未満 |
5年以上
10年未満 |
10年以上
20年未満 |
20年以上 |
|
全年齢 |
90日分 |
120日分 |
150日分 |
【会社都合による退職の場合】
|
勤務期間 |
1年未満 |
1年以上
5年未満 |
5年以上
10年未満 |
10年以上
20年未満 |
20年以上 |
|
30歳未満 |
90日分 |
90日分 |
120日分 |
150日分 |
180日分 |
30歳以上
35歳未満 |
90日分 |
90日分 |
180日分 |
210日分 |
240日分 |
35歳以上
45歳未満 |
90日分 |
90日分 |
180日分 |
240日分 |
270日分 |
45歳以上
60歳未満 |
90日分 |
180日分 |
240日分 |
270日分 |
330日分 |
60歳以上
65歳未満 |
90日分 |
150日分 |
180日分 |
210日分 |
240日分 |
以上の通り、Aさんは33歳で10年間会社に勤務していますので・・・
1)自己都合で退職した場合は120日分(6,037円×120日分=724,440円)
2)会社都合で解雇された場合は210日分(6,037円×210日分=1,267,770円)
いかがでしょうか??
自己都合で退職した場合と会社都合で退職した場合とでは、
雇用保険からもらえる失業保険の額が、およそ50万円程度も変わってきます。
またさらに、会社都合で退職した場合は
即座に失業保険を受給することができますが、
自己都合によって退職した場合は失業保険の手続をした後の
3ヵ月間は失業保険を受けることができません。
ですから、仮に貴方の夫が自主的に退職しようとする場合には、
あらかじめ会社と話し合い、
少なくとも先に説明した失業保険の差額分約50万円を退職金とは別に請求し、
また退職金も、実質は会社都合で退職するのですから割増退職金を請求すべきだと思います。
また、会社側がこれに応じないのであれば、
引き続き同じ仕事を続けるか、先ほどアドバイスしたように販売職へ異動を希望して、
自身のキャリアアップを計るべきだと思います。
このたびのアドバイスはこのくらいにしますが、いかがでしょうか??
退職をお考えになる場合、このようなケースの場合、
いくらかの選択肢があるのが良くお分かりになったと思います。
永きにわたって勤めた会社をお辞めになる場合は、
退職の方法や退職後の生活設計についてよく考えるべきだと思います。
真剣にお考えくださいね?
では次回は、失業保険を受ける間の必勝マメ知識
(『いかにして失業保険を貰い続けつつキャリアアップを計るべきか!??』)
についてお話したいと思います。次回をお楽しみに・・・!
≪マメ知識≫
1)会社側から従業員に解雇を言い渡す場合、労働基準法第20条の規定により、30日前に予告するか、又は30日分の平均賃金を支払わなければならない。
2)会社都合により退職する場合は即座に失業保険を受給することができるが、自己都合により退職する場合は3ヵ月間受給することができない。
3)自己都合により退職する場合、会社都合による退職するよりも、雇用保険上の保護が薄い!退職勧奨を受けている場合、可能な限り『解雇扱い』にしてもらうよう交渉すべし!!! |
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代 表 高 谷 守 亮