●思わぬ疑問にお答えします!
「最近問題になっている過労死の基準はどうなってるの?」
みなさん、こんにちは。社会保険労務士/行政書士の高谷と申します。
当職は、解雇などの労働問題を中心に業務展開しているのですが、
それ以外にも消費者トラブル等、一般の皆様方にとって身近な法律問題をメインに活動しております。
なお、労働社会保険その他の身近な法律問題について相談を受け付けておりますので、
お気軽にご相談ください。初回の相談は無料です。
(事務所についての詳細はこちら⇒http://www.h6.dion.ne.jp/~takatani/
⇒http://plaza.rakuten.co.jp/takatani
さて、前回は「出産した時、労働社会保険からどのような保険がおりるの??」
についてお話いたしましたが、この度は、11月に私が予定しております
セミナーにて『過労死問題』に触れる予定ですので、このことについて少し触れてみたいと思います。
これから一戸建てを購入しようとお考えなのに、
貴方のだんな様が最近過労気味で会社からの帰りも遅い・・・それだけならいいけども、
いつも気を張り詰めている状態のようで、家に帰ったらボーっとして食事してお風呂に入ったら寝て、
また直ぐに仕事・・・なんて生活を送ってる旦那様は本当に危ないですよ??
家を買ったら30年余りのローンを組むのが通常です。長い人生・長い支払いなので(笑)、
今の生活だけじゃなく、遠い将来の生活プランも考えていきましょう!!
≪トラブルの内容≫
私の主人は、某不動産の営業マンをしておりまして、年齢は現在38歳です。年齢からしてもわかると思いますが、一応それなりの役もいただいており(係長)、子供も二人目が生まれたものですので、主人は『将来は一戸建てを購入するぞ!!!』と、日々張り切って仕事に励んでいるようです。
しかし、ここ最近は本当に残業続きで帰りは連日深夜で、しかも本来は土曜日は休日なのに毎週のごとく出勤しており、顔色もよくありません。ですので、私は家の購入どころが主人の過労が本当に心配でなりません。
最近は過労死の認定基準が変わったことを耳にしたのですが、現在ではどの程度の労働が『過労死』として認定されるのでしょうか?教えてください。 |
『過労死の原因の多くは脳・心臓疾患!』
過労による突然死の原因として代表的な疾病として挙げられるのは
『脳・心臓疾患』であり、具体的には次のものが挙げられます。
1) 脳血管疾患
2) 脳内出血
3) くも膜下出血
4) 脳梗塞
5) 高血圧性脳症
6) 心筋梗塞
7) 狭心症
8) 心停止
9) 解離性動脈瘤
脳・心臓疾患は、その発祥の基礎となる血管病変などが、
主に加齢、食生活、生活環境などの日常生活による諸要因や遺伝等による要因によって
徐々に増悪して発症するものですが、『仕事』が原因で発症する場合もあります。
厚生労働省は、これまで脳・心臓疾患の労災認定にあたって、
主として発症前1週間程度の期間における業務量、
業務内容等を中心に業務の過重性を評価してきましたが、
平成13年12月より、長期間にわたる疲労の蓄積についても
業務による明らかな加重負荷として考慮することとしました。
脳・心臓疾患は、その発祥の基礎となる動脈硬化、動脈瘤などの
血管性病変などが主に加齢、食生活、生活環境などの日常生活による
諸要因や遺伝等による要因によって形成され、
それが徐々に進行してあるとき発症するものです。
しかし、仕事が特に過重であったために血管病変等が著しく増悪し、
その結果、脳・心臓疾患が発症することがあります。
このような場合、仕事がその発症にあたって、
相対的に有力な原因となったものとして労災保険の補償対象となり得ます。
つまり、業務による過重負荷を受けたことによって発症したものと考えられる
脳・心臓疾患は、業務上の疾病として取り扱われるのです。
『業務上の過労死として認められるのは、
「業務による明らかな過重負荷」の事実があったとき!!!』
過労による脳・血管疾患(いわゆる過労死)として認められるのは、
一言で言うとどのような場合なのでしょうか??
それは、突然死の前に『業務による明らかな過重負荷』があり、
その結果、脳・血管疾患に至って死亡したようなケースです。
従いまして、加齢、食生活などが主な原因で脳・血管疾患を患い、
結果として死亡したようなケースは、それは肉体の自然経過によって
徐々に悪化したものとして取り扱われ、労災認定されることはありません。
では最後に、『業務による明らかな過重負荷』として認められる条件として、
どのような要件があるのでしょうか?分りやすいように
次のとおり箇条書きにし、具体的にまとめてみます。
ポイント1:発症直前から前日までの間に、
発生状態を時間的・場所的に明確にしうる異常な状態※に遭遇したこと。
※『異常な状態』の具体例
精神的負荷・・・・・・極度の緊張、興奮、恐怖、驚愕などの
強度の精神的負荷を引き起こす突発的又は予測困難な異常な事態。
たとえば、業務に関連した重大な人身事故や震災復興作業などの重大事故に直接関与し、
著しい精神的負荷を受けた場合などがこれにあたります。
作業環境の変化・・・・急激で著しい環境の変化。
たとえば、屋外作業中、きわめて暑熱な作業環境下で
水分補給が著しく阻害される状態や特に温度差のある場所への頻繁な出入りなどがあります。
以上のことについて検討され、これらの出来事による
身体的、精神的負荷が著しいと認められるか否かという観点から
客観的かつ総合的に判断されます。
ポイント2:発症に近接した時期に、(短期間の)特に過重な業務についたこと
※『特に過重な業務』の具体例
日常業務に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと
客観的に認められる仕事をいいます。
なお、特に過重な業務に就いたと認められるか否かについては、
業務量、業務内容、作業環境などの具体的な負荷要因を考慮し、
同僚労働者または同種労働者にとっても、
特に過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点から、
客観的かつ総合的に判断します。
特に発症前のおおむね一週間以内に過重な業務が短期間にわたり
継続(おおむね1週間程度)している場合は、
業務と発症との関連性があると認められる可能性が高いと考えられています。
なお、具体的な負荷要因として次のものが挙げられます。
・ 労働時間
・ 不規則な勤務
・ 拘束時間の長い勤務
・ 出張の多い業務
・ 交替性勤務
・ 作業環境(温度環境、騒音など)
・ 精神的緊張を伴う業務
ポイント3:発症前の長期間にわたり 、著しい疲労の蓄積をもたらす
特に過重な業務に終了したこと(2に該当しない場合)
※『疲労の蓄積』の具体例
恒常的な長時間労働などの負荷が長期間(おおむね6箇月)にわたり作用した場合には、
『疲労の蓄積』が生じ、これによって血管病変などをその自然的経過を超えて著しく増悪させ、
結果として脳・心臓疾患を発症させることがあります。
このことから、発症との関連性において、業務の過重性を評価するにあたっては、
発症前の一定期間の就労実態などを考慮し、発症時における疲労の蓄積が
どの程度であったかという観点から判断することになります。
なお、特に過重な業務に就いたと認められるか否かについては、
戦術と同様に業務量、業務内容、作業環境などの具体的な負荷要因を考慮し、
同僚労働者または同種労働者にとっても、
特に過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点から、
客観的かつ総合的に判断します。
ポイント4:疲労の蓄積をもたらす労働時間評価の目安は、
一箇月当たりの残業が少なくとも80時間以上あること!
※『労働時間評価』の目安
疲労の蓄積をもたらすもっとも重要な要因と考えられる労働時間に着目すると、
労働時間が長いほど業務の過重性が増すところだと考えられます。
それでは具体的にどの程度の労働時間をどのように評価するのでしょうか?
・ 発症前1箇月から6箇月にわたり、1箇月あたり概ね45時間を超える
法定の残業が認められない場合は、業務と発症との因果関係が弱いと評価できる。
・ 概ね45時間を超えて法定の時間外労働が長くなるほど、
業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できる。
・ 発症前1箇月に概ね100時間又は発症前2箇月から6箇月にわたり、
1箇月に概ね80時間を超える法定の時間外労働が認められる場合には、
業務と発症との関連性が強いと評価できる。
以上、少し難しいですがお分かりになったでしょうか?
要するに、過労死の多くは脳・心臓疾患を原因とするものであって、
これが労災認定されるには・・・
≪マメ知識≫
1) 業務による明らかな過重負荷があった
2) 発症直前から前日までの間に、発生状態を時間的・場所的に明確にしうる異常な状態に遭遇したこと
3) 発症に近接した時期(おおむね1週間前)に、特に過重な業務についたこと
4) 3に該当しなくても、発症前の長期間にわたり 、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に終了したこと
5) さらに、頻繁な残業があったとしても、これが少なくとも1箇月あたり80時間以上なければ認められることはほとんどないこと |
が必要なのです。
ですから、ご主人様が上記のようなケースに該当するのなら
労災認定される可能性はありますが、
やはり本来はそのようなことのないよう未然に防ぐべきです。
人生は長いのですから・・・。何かお困りのことがあれば当職までご相談ください。
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高谷社会保険労務士事務所
社会保険労務士/行政書士
代 表 高 谷 守 亮